前回までは経営史の流れをたどり、ソーシャルシフトにいたるマネジメントの変遷を見てきました。講義内でもすでに登場しているキーワード、CSV(Creating Shared Value 〜 共通価値の創造) は、これからの経営を考える上でとても大切になってきます。 これまで「個人の欲求を満たすこと」にフォーカスしてきたビジネスは、現在「社会的ジレンマ(個人の合理的な選択が社会全体にとって合理的な選択にならず、結果として個人にも不利益がおよぶ問題)」に陥っています。 ビジネスは、極めて強いチカラを持つがゆえに、多くの社会問題を引き起こしてしまう。ここから軌道修正をしない限り、私たちに持続可能な未来はありません。 このCSVの概念、その実現に向けて目標となるSDGsについて、みんなに自分ごととして体験してもらうために、簡単なワークショップを企画しました。 考える手順は ① どんな課題を解決する? ② その解決のためにキーになる企業は? ③ どんな動機があれば、その企業は動く? ④ どんな動機があれば、生活者は動く? ⑤ それを実現するための「CSVサービス」は? ⑥ どんな全者ハッピーが実現する? こんな感じで進めました。 参考まで、講義内で使用した動画はこちらです。 ・A Look at the Sustainable Development Goals ・The Global Goals - Numbers In Action ・2016 世界中に広めよう SDGs ・成し遂げよう グローバル・ゴールズ また、他の講義で使用している動画については studyコーナー でも閲覧できます。 最後の伝説のスピーチのように、若者一人ひとりが主体的に取り組みはじめたら、世界はきっと変わると思う。その一助になれればうれしいな。 なお、この講義スライドは こちら からダウンロードできます。 ブログ記事では「講義の生スライド」にしていますが、ダウンロード資料では、先頭の「コメントシート」や「質問」などはカットしてあり「講義内容」のみにしてあります。 2019企業経営とトップマネジメントの講義ブログはこちらです。 6. ソーシャルシフト 5. 数字を見るか、人に見るか (2000-2019) 4. 数字を見るか、人を見るか (1970-1990) 3. 数字を見るか、人を見るか (1930-1960) 2. 経営学の源流を知ろう 1. オリエンテーション
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僕の持論、ソーシャルシフトのお話です。 ソーシャルメディアが世界を覆い、生活者は日常的に自らの体験をシェアするようになりました。商品の使用感、電話での顧客応対、店頭での顧客サービス、購入後のトラブルサポートにいたるまで、あらゆる顧客体験が、一瞬で伝播してしまう時代が到来しました。 企業内でも同じです。問題行為やハラスメント行為は直ちに告発され、ブラック企業のレッテルをはられてしまいます。さらには退職者も同様。過去にさかのぼって、企業の不正行為は告発されます。 経営視点で何が変わったか。 一言でいうと「顧客も社員も世間の評判も、コントロールできない時代」になったということです。 企業よ、誠実たれ。 この話をビジネスパーソンにし続けて、早や7年が立ちました。 当時は「話はわかる。でも実際の経営は違う。理想論ですよね」といった感想がほとんどでしたが、時代を経るにつれ「青臭い話」ではなく「現実の話」として聞いていただけるようになりました。 でも、これはZ世代の若者にとっては、実はなんの違和感もない考え方です。 むしろ「なんで、そんな古い考え方をしている経営者がいるんだ」という感想がほとんどで、頼もしく感じています。 ソーシャルネイティブ、Z世代の君たちが、きっとソーシャルシフトされた社会を創ってくれるはず。そんな期待をいだきながら、お話をしてみました。 冒頭で流したプロローグ・ムービー 中盤で流したインター・ムービー 最後に流したエピローグ・ムービー なお、この講義スライドは こちら からダウンロードできます。
ブログ記事では「講義の生スライド」にしていますが、ダウンロード資料では、先頭の「コメントシート」や「質問」などはカットしてあり「講義内容」のみにしてあります。 2019企業経営とトップマネジメントの講義ブログはこちらです。 5. 数字を見るか、人に見るか (2000-2019) 4. 数字を見るか、人を見るか (1970-1990) 3. 数字を見るか、人を見るか (1930-1960) 2. 経営学の源流を知ろう 1. オリエンテーション 三回連続で、ビジネスと経営学の歴史を紐解いてゆく「数字か、人か」シリーズ。 今回は三回目。経営学界では、戦略論の分野で、論争のたえないポジショニング派とケイパビリティ派、そこにラーニング学派も参入して百花繚乱の様相に。 一方、現実の経済界では、冷戦の終結とインターネットの普及で、世界はグローバル資本主義一色に染まってゆきました。そしてヘッジファンドも登場、経営者もストックオプションで株主と利益を共有することになり、短期利益や事業拡大に対する株主要求はますます強まります。 そして2008年9月、戦略経営に加速したビジネスの世界を、未曾有のカタストロフィ「世界金融危機」が襲いました。僕自身、金融危機で自社に大きな打撃を受けたこともあり、リーマンショック当日のことは鮮明に覚えています。 この日を境に、資本主義に対する疑問から、新しい経済観が世界から湧きあがってきました。 今回の講義でも、経営史を単なる知識として覚えるのではなく、この流れを疑似体験することで「経営はいかにあるべきか」を深く考えてもらうことに主眼にしてみました。 なお、この講義でも、本人の了解を得て、内容をまとめたコメントシートを掲載させてもらってます。 また、この講義スライドは こちら からダウンロードできます。 ブログ記事では「講義の生スライド」にしていますが、ダウンロード資料では、先頭の「コメントシート」や「質問」などはカットしてあり「講義内容」のみにしてあります。 2019企業経営とトップマネジメントの講義ブログはこちらです。 4. 数字を見るか、人を見るか (1970-1990) 3. 数字を見るか、人を見るか (1930-1960) 2. 経営学の源流を知ろう 1. オリエンテーション 三回連続で、ビジネスと経営学の歴史を紐解いてゆく「数字か、人か」シリーズ。TBS名作ドラマ「半沢直樹」のモチーフを借りて、東京中央電気という架空の会社の歴史を追いながら、その背景にある経営学と結びつけてます。 今回は二回目。不確実性の時代に入り、企業間の戦いは激化してゆきます。「戦略」「戦術」が経営用語となり、有能な参謀としてボスコンやマッキンゼーのようなコンサルティングファームが台頭しました。 そして、アカデミー界のマイケル・ポーター、ビジネス界のジャック・ウェルチという二人のスーパースターが誕生し、戦略的経営は全盛を迎えます。「勝つことこそ善である」という経営思想が世界に浸透し、進化した科学的管理法「大テーラー主義」がビジネスの世界の常識になりました。 この講義でも、本人の了解を得て、内容をまとめたコメントシートを掲載させてもらってます。 また、この講義スライドは こちら からダウンロードできます。 2019企業経営とトップマネジメントの講義ブログはこちらです。 3. 数字を見るか、人を見るか (1930-1960) 2. 経営学の源流を知ろう 1. オリエンテーション 今回から三回連続で、ビジネスと経営学の歴史を紐解いてゆく「数字か、人か」シリーズ。TBS名作ドラマ「半沢直樹」のモチーフを借りて、東京中央電気という架空の会社の歴史を追いながら、その背景にある経営学と結びつけてみました。 内容は、前回講義の中心だった「科学的管理法」と「人間関係論」のおさらいをした後に、バーナード、マズロー、マクレガー、ドラッカー。自分のまわりの組織 (部活、サークル、バイト、ゼミ) への応用を考えてもらうことで、経営学を自分ごとしてもらえると思ってストーリーをつくってます。ドラッカーまでの経営史を、自分ごととして体感してもらえたらうれしいな。 次回は1970年以降をおっていきます。 なお、この講義スライドは こちら からダウンロードできます。 また、2019企業経営とトップマネジメントの講義ブログはこちらです。 2. 経営学の源流を知ろう 1. オリエンテーション 前回のオリエン後半からはじまった「ターニャの起業物語」をベースに、経営学の源流である「科学的管理法」と「人間関係論」をできるだけリアルに体感してもらうことを目指してみました。 つまらなくなりがちな経営学の講義。でも、ほんとうは、誰しもが悩む「組織の悩みを解決する素晴らしい知恵」が詰まっている学問です。 僕はそれをみんなに「自分ごと」として感じてほしい。そうすれば経営学を学ぶことが楽しくなるからです。それを目指してストーリーを組み立てています。 なお、この講義スライドは こちら からダウンロードできます。 また、2019企業経営とトップマネジメントの講義ブログはこちらです。 2. 経営学の源流を知ろう 1. オリエンテーション 2019年度、すぐに役立つ楽しい経営学「企業経営とトップマネジメント」がはじまります。 この講義の特徴は、 ① 経営のハードスキル(前期)、経営のソフトスキル(後期) をバランスよく学べる ② 前期は、経営学の歴史から今の経営、さらに未来型組織まで、時系列で学べる ③ 後期は、学生の悩みを取り上げることで、自分事として経営学を学べる ところにあります。 多くの教育機関では、これまで「経営のハードスキル」を中心に教えてきました。経営を組織論、戦略論、マーケティング、会計と分類し、それにに関して「体系化された知識」を教えていくという手法です。 もちろん知識は大切ですが、それだけでは経営はできません。 いくら机上で長い間サッカーを学んでも、サッカー選手にはなれないのと同じこと。サッカーは実際にグラウンドに出て、気の遠くなるような反復練習と、ゲームという試練を数多くくぐり抜けて、はじめて成長していくもの。経営も同じですね。 そのため、例えば世界最高レベルの教育機関のひとつ、ハーバードビジネススクールでは、すでにソフトスキルに対する教育比率が半分を超えています。 この「経営のソフトスキル」重視に同校がシフトしたのは、2001年に粉飾決算で倒産(当時、米国で最大規模)したエンロンのCEO、スキリングを生み出したことへの反省があったと言われています。 当時、MBAで学ぶ学生の就職先として最も人気があった企業がエンロンであり、そのため同社はMBA出身者が中心となって経営されていた組織でした。MBAで学んだことを実践した結果、米国で最大の倒産劇、それも悪質極まる粉飾決算を引き起こしてしまった。そのことに対する批判が教育機関に集中したのです。 今の時代をとらえても、この流れはリーズナブルです。 人工知能が本格的に産業に進出しはじめたからです。 AI時代において、知識の多くはコンピュータがカバーします。コミュニケーションやリーダーシップなど「体系化が難しいヒューマンスキル」を実践さながらに学ぶことが重要になる。そのためには体系化が難しい「経営のソフトスキル」をいかに高めていくか、アカデミー界における大きなテーマではないかと考えています。 このような背景から、この講義では、前期は「経営のハードスキル」、後期では「経営のソフトスキル」の習得に力点をおき、カリキュラムを設計しています。 前期に学ぶ「経営のハードスキル」は、3つのブロックにわけた講義内容になります。 2〜5までが経営学の歴史。これまでに登場した主要な経営学の理論を、時代の流れにそったカタチでその文脈とともに解説していく講義です。つまらなくなりがちな座学中心のお話なので、人気ドラマ「半沢直樹」をモチーフに、経営者の悩みをリアルに体験しながら学ぶ内容になっています。 6〜9は今の経営課題。僕の持論である「ソーシャルシフト」、それにSDGとCSVについて。さらに組織論に大きなインパクトを与え、これからの組織における中核コンセプトになるであろう「学習する組織」の考え方を、ワークショップを多用しながら進めていきます。 10〜13は未来の組織。一言で言えば、ヒエラルキーのない、上司のいない組織のこと。孫氏の兵法以来、何千年の歴史の中で変化のなかった「人の組織」が、テクノロジーの影響で革命的な変化を遂げつつある。その流れをしっかり体感する講義です。この内容については、ソーシャルシフトラボ・テキスト「未来の組織について考えてみよう」としてまとめてありますので、興味のある方はご参照ください。 後期に学ぶ「経営のソフトスキル」は、毎回、学生が持つ「組織の悩み」をひとつずつとりあげて、それを300名を超える学生たちが考え、発表するという他に類をみない形式で進めていく講義です。 まず、①学生の悩みが最初に共有される。② 学生たちがLINEグループを通じて考えた内容をどんどん投稿する。それをみた当事者が ③「実行するアイデア」をいくつか選択し、④ 組織にもどってチャレンジし、講義で結果をフィードバックするという流れになります。 この写真は学習院大学のサッカー部。彼らの悩みを、300名、90を超えるチームが一斉に考えて、LINEグループで投票します。はじめて見た方はかなり驚かれる光景だと思います。 後期を通じた集大成は、社会人になってからも振り返られるように「みんなでつくるリーダーシップ」としてシェアします。 2018年度の集大成はこちらの記事で公開していますので、ご興味ある方はご覧ください。 最後に、この講義でも「企業経営とソーシャルキャピタル」と同様、受講者数350名ほどの大規模な講義ですが、① ペアトークなどアクティブラーニングを取り入れ、②LINEを使った双方向の授業 にしています。 このあたりの具体的な内容は「企業経営とソーシャルキャピタル」のオリエンテーション記事 で書いているのでご参照ください。 あ、そうそう。コメントシートも変えました。 今年はオリジナル。グラレコもかけるよう工夫しました。 dotグラレコ部リーダーの作品です😊 (とんとんもdotの子たちから命名されました😂) で、講義のオリエンがおわったあとは、ちょい本番の講義をスタートしました。 セーターの手編みが趣味のターニャがゼロから会社をつくってゆく「ターニャの経営物語」です。 ここで取り上げている「会社とはなにか」「株式とはなにか」、実は社会人でもなかなか答えられないんですよね。経営学、基礎中の基礎だけど、定義だけ覚えても明日には必ず忘れてる。なので、自分ごと化できるようにストーリーにしています。 ちなみにスライド内、穴埋めにななっているところ、正解例は以下の通りです。 「所有」「経営」「株式」「株主は株式を失う」 「配当」「証券取引所」 「直接金融」「間接金融」 さて、オリエンテーションはこれでおしまい。 来週は「ターニャの経営物語」を続けていきます。 なお、講義資料は "DOWNLOAD" ベージ からダウンロードできます。 では、また来週、お会いしましょう! 四回にわたってブログ投稿してきた、ヒエラルキーも上司もない「未来型の組織」の資料を総まとめしてみました。またこれまでのブログに加えて、最後には世界的に著名な未来型の組織として「オルフェウス楽団」「モーニングスター」「セムコ」「W.L.ゴア」についての資料も追加しました。 ティール組織、ホラクラシー、DAO(自律分散型組織)など、いわゆるバズワードとなっている未来型組織の違いの整理、それに積み上げられてきた経営学との関連をさせることが目的で資料を作成しました。なかなかに時間がかかり、スライドも200ページ近くになりましたが、僕自身も頭の整理になり、発見も多くありました。 なお、今回の調査の総まとめを ダウンロードベージ に置きました。よろしければ活用ください。 P.S. イベントでお話しします この資料にある「未来の組織」から学んだことをそのまま応用している、いわば経営学にとっての実験の場が「イノベーションチームdot」です。3/16(土)、3/17(日) 大手町で行われるdot活動の集大成「dotフェス!2019」にいらっしゃれば、肌感覚で未来型組織の可能性を体験いただけると思います。 特に3/17 13:00-13:40には、「自ら学び、対話し、成長する組織。チームdotはどのように生まれたのか」を僕がお話しする予定です。で、その後はSDGsアイデアソン「ワンチャンお願い!SDGs」(ファシリテーターを僕がつとめます) になだれ込みます。 無料でどなたでもお気軽に参加できますので、ご興味ある方はぜひお越しくださいませ。当日、いろいろお話しましょう。 イノベーションチームdotについて https://www.join-the-dots.net/blog/category/team-dot dotフェス!2019について https://www.facebook.com/events/405291666910766/ 未来の組織として「DAO(自律分散型組織)」についてまとめてみました。これは過去の講義になかったので新しい情報です。ブロックチェーンの基本から説明する必要があったので、ちょい厳しかったけど、これなら文系の学生でもわかるかな? あわせて、DAOで省力化できると考えられている「取引コスト」について、重要な概念なので解説を入れてみました。 マネジメントに関する関連記事は こちら 04. DAO(自律分散型組織)についてまとめてみた 03. ホラクラシーについてまとめてみた 02. ティール組織と経営理論をまとめてみた 01. 未来の組織 〜 ティール組織?ホラクラシー?DAO?ってなに 未来の組織として「ティール組織」と並べて話されることの多い「ホラクラシー」について、過去の講義からポイントをピックアップしてみました。 まだ評価が定まっていない「ホラクラシー」のシステムですが、最大の課題であると思われる「自己決定感」についても追記しています。 マネジメントに関する関連記事は こちら 04. DAO(自律分散型組織)についてまとめてみた 03. ホラクラシーについてまとめてみた 02. ティール組織と経営理論をまとめてみた 01. 未来の組織 〜 ティール組織?ホラクラシー?DAO?ってなに |
著者ビジネス・ブレークスルー大学教授、現役起業家の斉藤徹です。人を幸せにしたいと願う起業家や社会人を育て、一緒に世界をもっと優しいところにする活動をしてます。 アーカイブ
8月 2021
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